ヨブ記5-7 ; 使徒8:1-25

ヨブ記

第5章

5:1試みに呼んでみよ、
だれかあなたに答える者があるか。
どの聖者にあなたは頼もうとするのか。
5:2確かに、憤りは愚かな者を殺し、
ねたみはあさはかな者を死なせる。
5:3わたしは愚かな者の根を張るのを見た、
しかしわたしは、にわかにそのすみかをのろった。
5:4その子らは安きを得ず、
町の門でしえたげられても、これを救う者がない。
5:5その収穫は飢えた人が食べ、
いばらの中からさえ、これを奪う。
また、かわいた者はその財産をあえぎ求める。
5:6苦しみは、ちりから起るものでなく、
悩みは土から生じるものでない。
5:7人が生れて悩みを受けるのは、
火の子が上に飛ぶにひとしい。
5:8しかし、わたしであるならば、神に求め、
神に、わたしの事をまかせる。
5:9彼は大いなる事をされるかたで、測り知れない、
その不思議なみわざは数えがたい。
5:10彼は地に雨を降らせ、野に水を送られる。
5:11彼は低い者を高くあげ、
悲しむ者を引き上げて、安全にされる。
5:12彼は悪賢い者の計りごとを敗られる。
それで何事もその手になし遂げることはできない。
5:13彼は賢い者を、彼ら自身の悪巧みによって捕え、
曲った者の計りごとをくつがえされる。
5:14彼らは昼も、やみに会い、
真昼にも、夜のように手探りする。
5:15彼は貧しい者を彼らの口のつるぎから救い、
また強い者の手から救われる。
5:16それゆえ乏しい者に望みがあり、
不義はその口を閉じる。
5:17見よ、神に戒められる人はさいわいだ。
それゆえ全能者の懲しめを軽んじてはならない。
5:18彼は傷つけ、また包み、
撃ち、またその手をもっていやされる。
5:19彼はあなたを六つの悩みから救い、
七つのうちでも、災はあなたに触れることがない。
5:20ききんの時には、あなたをあがなって、
死を免れさせ、
いくさの時には、つるぎの力を免れさせられる。
5:21あなたは舌をもってむち打たれる時にも、
おおい隠され、
滅びが来る時でも、恐れることはない。
5:22あなたは滅びと、ききんとを笑い、
地の獣をも恐れることはない。
5:23あなたは野の石と契約を結び、
野の獣はあなたと和らぐからである。
5:24あなたは自分の天幕の安全なことを知り、
自分の家畜のおりを見回っても、欠けた物がなく、
5:25また、あなたの子孫の多くなり、
そのすえが地の草のようになるのを知るであろう。
5:26あなたは高齢に達して墓に入る、
あたかも麦束をその季節になって
打ち場に運びあげるようになるであろう。
5:27見よ、われわれの尋ねきわめた所はこのとおりだ。
あなたはこれを聞いて、みずから知るがよい」。

第6章

6:1ヨブは答えて言った、
6:2「どうかわたしの憤りが正しく量られ、
同時にわたしの災も、はかりにかけられるように。
6:3そうすれば、これは海の砂よりも重いに相違ない。
それゆえ、わたしの言葉が軽率であったのだ。
6:4全能者の矢が、わたしのうちにあり、
わたしの霊はその毒を飲み、
神の恐るべき軍勢が、わたしを襲い攻めている。
6:5野ろばは、青草のあるのに鳴くであろうか。
牛は飼葉の上でうなるであろうか。
6:6味のない物は塩がなくて食べられようか。
すべりひゆのしるは味があろうか。
6:7わたしの食欲はこれに触れることを拒む。
これは、わたしのきらう食物のようだ。
6:8どうかわたしの求めるものが獲られるように。
どうか神がわたしの望むものをくださるように。
6:9どうか神がわたしを打ち滅ぼすことをよしとし、
み手を伸べてわたしを断たれるように。
6:10そうすれば、わたしはなお慰めを得、
激しい苦しみの中にあっても喜ぶであろう。
わたしは聖なる者の言葉を
否んだことがないからだ。
6:11わたしにどんな力があって、
なお待たねばならないのか。
わたしにどんな終りがあるので、
なお耐え忍ばねばならないのか。
6:12わたしの力は石の力のようであるのか。
わたしの肉は青銅のようであるのか。
6:13まことに、わたしのうちに助けはなく、
救われる望みは、わたしから追いやられた。
6:14その友に対するいつくしみをさし控える者は、
全能者を恐れることをすてる。
6:15わが兄弟たちは谷川のように、
過ぎ去る出水のように欺く。
6:16これは氷のために黒くなり、
そのうちに雪が隠れる。
6:17これは暖かになると消え去り、
暑くなるとその所からなくなる。
6:18隊商はその道を転じ、
むなしい所へ行って滅びる。
6:19テマの隊商はこれを望み、
シバの旅びとはこれを慕う。
6:20彼らはこれにたよったために失望し、
そこに来てみて、あわてる。
6:21あなたがたは今わたしにはこのような者となった。
あなたがたはわたしの災難を見て恐れた。
6:22わたしは言ったことがあるか、『わたしに与えよ』と、
あるいは『あなたがたの財産のうちから
わたしのために、まいないを贈れ』と、
6:23あるいは『あだの手からわたしを救い出せ』と、
あるいは『しえたげる者の手から
わたしをあがなえ』と。
6:24わたしに教えよ、そうすればわたしは黙るであろう。
わたしの誤っている所をわたしに悟らせよ。
6:25正しい言葉はいかに力のあるものか。
しかしあなたがたの戒めは何を戒めるのか。
6:26あなたがたは言葉を戒めうると思うのか。
望みの絶えた者の語ることは風のようなものだ。
6:27あなたがたは、みなしごのためにくじをひき、
あなたがたの友をさえ売り買いするであろう。
6:28今、どうぞわたしを見られよ、
わたしはあなたがたの顔に向かって偽らない。
6:29どうぞ、思いなおせ、まちがってはならない。
さらに思いなおせ、
わたしの義は、なおわたしのうちにある。
6:30わたしの舌に不義があるか。
わたしの口は災を
わきまえることができぬであろうか。

第7章

7:1地上の人には、
激しい労務があるではないか。
またその日は雇人の日のようではないか。
7:2奴隷が夕暮を慕うように、
雇人がその賃銀を望むように、
7:3わたしは、むなしい月を持たせられ、
悩みの夜を与えられる。
7:4わたしは寝るときに言う、『いつ起きるだろうか』と。
しかし夜は長く、暁までころびまわる。
7:5わたしの肉はうじと土くれとをまとい、
わたしの皮は固まっては、またくずれる。
7:6わたしの日は機のひよりも速く、
望みをもたずに消え去る。
7:7記憶せよ、わたしの命は息にすぎないことを。
わたしの目は再び幸を見ることがない。
7:8わたしを見る者の目は、
かさねてわたしを見ることがなく、
あなたがわたしに目を向けられても、
わたしはいない。
7:9雲が消えて、なくなるように、
陰府に下る者は上がって来ることがない。
7:10彼は再びその家に帰らず、
彼の所も、もはや彼を認めない。
7:11それゆえ、わたしはわが口をおさえず、
わたしの霊のもだえによって語り、
わたしの魂の苦しさによって嘆く。
7:12わたしは海であるのか、龍であるのか、
あなたはわたしの上に見張りを置かれる。
7:13『わたしの床はわたしを慰め、
わたしの寝床はわが嘆きを軽くする』と
わたしが言うとき、
7:14あなたは夢をもってわたしを驚かし、
幻をもってわたしを恐れさせられる。
7:15それゆえ、わたしは息の止まることを願い、
わが骨よりもむしろ死を選ぶ。
7:16わたしは命をいとう。
わたしは長く生きることを望まない。
わたしに構わないでください。
わたしの日は息にすぎないのだから。
7:17人は何者なので、あなたはこれを大きなものとし、
これにみ心をとめ、
7:18朝ごとに、これを尋ね、
絶え間なく、これを試みられるのか。
7:19いつまで、あなたはわたしに目を離さず、
つばをのむまも、わたしを捨てておかれないのか。
7:20人を監視される者よ、わたしが罪を犯したとて、
あなたに何をなしえようか。
なにゆえ、わたしをあなたの的とし、
わたしをあなたの重荷とされるのか。
7:21なにゆえ、わたしのとがをゆるさず、
わたしの不義を除かれないのか。
わたしはいま土の中に横たわる。
あなたがわたしを尋ねられても、
わたしはいないでしょう」。


使徒

第8章

8:1サウロは、ステパノを殺すことに賛成していた。
その日、エルサレムの教会に対して大迫害が起り、使徒以外の者はことごとく、ユダヤとサマリヤとの地方に散らされて行った。8:2信仰深い人たちはステパノを葬り、彼のために胸を打って、非常に悲しんだ。8:3ところが、サウロは家々に押し入って、男や女を引きずり出し、次々に獄に渡して、教会を荒し回った。
8:4さて、散らされて行った人たちは、御言を宣べ伝えながら、めぐり歩いた。8:5ピリポはサマリヤの町に下って行き、人々にキリストを宣べはじめた。8:6群衆はピリポの話を聞き、その行っていたしるしを見て、こぞって彼の語ることに耳を傾けた。8:7汚れた霊につかれた多くの人々からは、その霊が大声でわめきながら出て行くし、また、多くの中風をわずらっている者や、足のきかない者がいやされたからである。8:8それで、この町では人々が、大変なよろこびかたであった。
8:9さて、この町に以前からシモンという人がいた。彼は魔術を行ってサマリヤの人たちを驚かし、自分をさも偉い者のように言いふらしていた。8:10それで、小さい者から大きい者にいたるまで皆、彼について行き、「この人こそは『大能』と呼ばれる神の力である」と言っていた。8:11彼らがこの人について行ったのは、ながい間その魔術に驚かされていたためであった。8:12ところが、ピリポが神の国とイエス・キリストの名について宣べ伝えるに及んで、男も女も信じて、ぞくぞくとバプテスマを受けた。8:13シモン自身も信じて、バプテスマを受け、それから、引きつづきピリポについて行った。そして、数々のしるしやめざましい奇跡が行われるのを見て、驚いていた。
8:14エルサレムにいる使徒たちは、サマリヤの人々が、神の言を受け入れたと聞いて、ペテロとヨハネとを、そこにつかわした。8:15ふたりはサマリヤに下って行って、みんなが聖霊を受けるようにと、彼らのために祈った。8:16それは、彼らはただ主イエスの名によってバプテスマを受けていただけで、聖霊はまだだれにも下っていなかったからである。8:17そこで、ふたりが手を彼らの上においたところ、彼らは聖霊を受けた。8:18シモンは、使徒たちが手をおいたために、御霊が人々に授けられたのを見て、金をさし出し、8:19「わたしが手をおけばだれにでも聖霊が授けられるように、その力をわたしにも下さい」と言った。8:20そこで、ペテロが彼に言った、「おまえの金は、おまえもろとも、うせてしまえ。神の賜物が、金で得られるなどと思っているのか。8:21おまえの心が神の前に正しくないから、おまえは、とうてい、この事にあずかることができない。8:22だから、この悪事を悔いて、主に祈れ。そうすればあるいはそんな思いを心にいだいたことが、ゆるされるかも知れない。8:23おまえには、まだ苦い胆汁があり、不義のなわ目がからみついている。それが、わたしにわかっている」。8:24シモンはこれを聞いて言った、「仰せのような事が、わたしの身に起らないように、どうぞ、わたしのために主に祈って下さい」。
8:25使徒たちは力強くあかしをなし、また主の言を語った後、サマリヤ人の多くの村々に福音を宣べ伝えて、エルサレムに帰った。


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